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2017冬キャンプ後記 募集チラシに偽りアリの、しなやかな時間に是非どうぞ!/君たち、世界を変えてみたくはないか?

【キャンプ後記/保護者向け】
募集チラシに偽りアリの、しなやかな時間に是非どうぞ!

以前、小学校の職員で働いた経験で、学校っていうのは、
「全員を、テストで100点を取れるようにしてあげる」ことは出来ても(現実的な事かは別として)
「全員を、テストで1番にしてあげる」ことは出来ない世界だと思います。
テストで50点だった子が、自分で頑張って100点取れるようになる可能性はあるし、先生が努力・工夫して、全員を「100点を取れるようにする」可能性はあります。
でも、子どもたち全員が頑張って、全員が100点を取れるようになったとしても、「全員を1番」にはできないのが学校です。受験・進学が前提にあって、成績で順番を付けて、選別・分別してゆかざるを得ない。仕組みとして。
だから、全員がテストで100点を取ったならば、別の評価基準を作って、順番を付けるでしょう。全員が頑張ったとしても、努力した子を認めて、無条件に受け入れてあげられる器ではないなと思いました。
小学校の成績は「絶対評価」と言われていますが、私が見聞きした現場の事実は違います。現実は、あらかじめ、良い評価・悪い評価を付ける人数(割合)を決めたうえで、成績を付けています。今も「相対評価」です。
現実の生活には、勝ち抜いていく必要のある場面もあるので、そういう学校の仕組みを全否定はしないのですが、
毎日をそういう場で過ごす、こどもたちの日常に、少しでも風穴を開けたいと思っています。

テストで50点だった子が、100点取れるようになったとしたら、それは自分の頑張りが報われた「自己充実感」を得られる。
「テストで1番」で得る充実感は、他者と比べて上に行ったという、人との比較で得る「相対的な充実感」。
良い順番のためだけ(・・)に勉強をするなら、「勉強そのものをやりたい!」という自分の内側からの動機がないので、自己充実感は得にくい。
このキャンプの特徴は「応募チラシに、偽りあり!」です(笑)。チラシに書いたプログラムを、すべてきちんと行った試しがありません。 こどもたちに、自分のやりたいことを考えて、決めてもらうため、やりたいと思う子が現れないプログラムは、自然消滅してゆきます。
でもこのキャンプは「自己充実感」にフォーカスして取り組んでいます。ですので、やりたい!という自分の内側からの動機が必須になるため、プログラムの自然消滅はあり!と考えています。
今回のキャンプは、「こどもたちが撮った写真を集めて、アルバム作り」というプログラムがありましたが、自然消滅になりました。写真を撮っている子も少なからずいて、アルバムのために写真を集めようとしたのですが、「自分で撮ったことで満足。家族や友達に見せれば、それでいい!」と言われました。なるほど!と思い、アルバム作りは無しにしました。
アルバムという形にしたいのは、大人の都合。形にして、大人側の実績?にしたいという事なのかもしれないなと。

私自身は(小・中学校時代も含め)、学校から「こうしなさい」「参加しなさい」と言われても、適度に距離を取り、全て学校の要望通りにはしないで学校時代を過ごしました。学校にすべてを任せ・従うのではなく、学校より大切な事・面白そうな事もあると思い、時には学校のスケジュールより、他のスケジュールを選択したりして過ごしました。
学校も大事だけど、学校だけがすべてではなく、学校も、こども(自分)が成長する上での「数ある中の、一つの場」と考えていました。今もそう考えています。
学校の予定や行事も忙しい中で、時にしなやかな発想で、学校も「数ある中の一つ」と考えて、1年365日の中の10日間だけでも、「自己充実感」というキャンプの時間に身を委ねてくれないかなー、と思っています。


【キャンプ後記/こどもたち向け】
君たち、世界を変えてみたくはないか?

「レボリューション No.3」という本が大好きです。金城一紀という、直木賞をとった人の本です。
おちこぼれの高校生が、ドクター・モローという学校の先生の、
「君たち、世界を変えてみたくはないか?」
という一言でめざめます。
ドクター・モローは、おちこぼれたちに、
「君たちはなんらかの才能を持って生まれてきている。その才能を見つけ出し、その才能の世界で生きれば、自然と勉強の得意な奴らの世界は消滅する」と言います。
その高校生たち(ザ・ゾンビ―ス、というグループ名)は、自分たちのやりたいことを考えて、思いっきりがんばります。「冒険」をします。
その「やりたいこと」は、とてもくだらなくて、まわりから見れば、あきれてしまうようなことですが(笑)。
でも、その姿がとてもたのしそうで、読んでいて笑えて、おもしろくて、今までに何回も、この本を読み返しています。おすすめの本です。
キャンプの場所は、ふだん学校や家ではできないことをやれる場所をえらんで、きめています。
ふだんできることを、キャンプに来ておなじようにやっていても、つまらない。ふだんできないことを知ってほしい。
このキャンプで、すこしでも、みんなにじぶんたちの「世界を変えてほしい」と思っています。
キャンプの場所は、いつも「なにもないところ」と思うかもしれません。たしかに、ふだんあそんでいる道具や物はなにもありません。
でもそのかわり、ふだんできないことをできる、そのための物がたくさんあります。そんなふうには見えないかもしれません。でも、いままでやったことがないから、見つけられないだけだと思います。
キャンプにくる前に「これをやろう」とかんがえてきたことだけでなく、キャンプに来たら「ほかになにができるだろう」と、まわりを見て、いろいろかんがえて、見つけてほしいと思っています。
「君たち、世界を変えてみたくないか?」と、いつも思いながら、キャンプをやっています。
つぎのキャンプでも、すこしでも、世界を変えてみましょう!!


こども・わらずキャンプ楽会  渡辺和浩

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