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2018冬キャンプ後記

【2018冬キャンプ後記 】
 小中学生時代は参加者の常連で、今年春の高校進学を機に加わってくれたスタッフが、夏キャンプの後に、包丁を5本、寄付してくれました。
 夏休みの、母校の小学校のプール監視員のアルバイト給料から、自腹で寄付してくれました。おそらく初めてのアルバイト、初めての給料。その中から、決して安くはない金額の物を購入してくれました。素直に感情表現が出来ない自分を恥じながら、内心受け取った時には、嬉しく仕方ありませんでした。

 この包丁は、今回の冬キャンプから、新たなキャンプ備品として使わせていただきました。そしてこれを機に、古くなった包丁が数本、キャンプの備品としての役目を終えました。

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 この役目を終えた包丁は、今から6年前に購入しました。2012年(震災の翌年)に、「中央アフリカのコンゴという国から、東日本大震災の被災地の方への寄付金を預かっているので、このキャンプに是非」という話をいただき、2万円の寄付を受け取りました。
 コンゴは、元々一つの国・地域だったものが、15世紀のヨーロッパ各国の侵略・植民地化で、コンゴ共和国とコンゴ民主共和国、ガビンダの三つに分割され、その後も長い期間、植民地の時代が続きました。植民地からの独立後も、内戦や民族紛争で辛い歴史が続き、今現在も民族紛争で悲惨な出来事が続き、難民もたくさん出ています。最近では、エボラ出血熱の流行が止まらず、 深刻な状態だそうです。

 国民の平均年収は、コンゴ共和国が約 1700ドル(19万円)、コンゴ民主共和国が約400ドル(4万5千円)。加えて、 日本では想像できないほど貧富の差が激しく、ごくごく一部の富裕層が所得を独占しているので、実際の一般の人たちは、ごくごく僅かな収入で暮らしています。ほとんど 収入の無い人もたくさんいることと思います。おそらく、食べることさえ満足にできない 子ども、学校に行けない子ども、生活のために(ごくごくわずかな収入で)働き、家族の 生活費を稼ぐ子どももたくさんいます。

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 2万円というと、日本では子どもがもらうお年玉より少ない金額かもしれませんが、そういう国の、富裕層ではない、普通の人々が集めてくれた「2万円」(コンゴの人にとっては物凄い金額だと思います)なので、寄付金に込められた意味や想いは、金額だけでは測れない、心打たれるものがありました。そして、コンゴの人たちの想いを心に置き、使途を考え、後々に形として残り、子どもたち全員で使い、大切にしてゆける物をと、包丁を選んで購入しました。6年前のキャンプでは、この話を、子どもたち全員の前で話しました。
 

 その包丁たちはこの6年間、何百人の子どもたちが手に取り、ともに食事を作り続けてきました。このキャンプでの調理経験をきっかけに、普段 の自宅でも料理作りを始めたという子どもたちの話も、多々聞いてきました。
 そして6年間使い続けた傷みもあり、今回のキャンプでその役目を終えてもらい、高校生スタッフが寄付してくれた包丁に役割を引き継いでもらうことになりました。
 
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 一回のキャンプはわずか数日間で、すぐ目の前に形として残る物は何もないこのキャンプですが、たくさんの人たちの想いが集まり、参加するこども・大人、みんなの感情がしっかりと詰まった、今この瞬間にしか体験できない、かけがえのない時間と体験だと考えています。
 そしてこの体験が、子どもたちが将来、大切にしたい思い出として記憶してくれていることを願って、これからも続けてゆきたいと思っています。新しい包丁で、これからもたくさんの料理と思い出と、経験を作ってゆきましょう!!

こども・わらずキャンプ楽会 渡辺 和浩

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