「努力」は「夢中」に勝てない!!
自分が夢中になれることなら、しんどい事も努力も、苦にならずできる。夢中だからこそ、苦も努力もしながら進んでゆける(でも本人は、苦や努力とも思わず)。
●「やりたい」「楽しい」「すてき」なことを自分で考え決める。
夢中になるためには「自分がやりたいと思える」こと。それを自分の目で見て、考え、決めてゆくこと。「楽しい」「すてき」と思うことを、自分で作ってゆくこと。
●自分で決めた「やりたいこと」を、納得するまでやってみる。
結果はともかく、自分の心と体と頭をフルに使って、実践してみること。

子どもにとって必要な経験、心、感受性ついて、当会ではこう考えています。(被災地とか、被災地でないとかに関わらず)
これは、東日本大震災の宮城県気仙沼市での支援活動をスタートとし活動を続ける当会の財産(『当会について参照』)でもあります。
被災地の現状を知り、その子どもたちと出会い、共に過ごす中で培った考え方です。

被災地のこども達の現状

宮城県気仙沼市は震災の津波・大規模火災で街全体が甚大な被害を受けました。
そして、震災から4年がたった現在、被災地では復旧・復興がなかなか進んでいません。

・宮城県気仙沼市の災害公営住宅(震災で家を失い、自力での再建が困難な人のための賃貸住宅)は、計画戸数のうち工事が完了した物はわずか8.6%。 ※2015年4月30日現在)
・小中学校校庭に建つ仮設住宅(2校に1校の校庭は仮設住宅が並び、使用不可)の撤去率は0%。 ※2014年9月現在)

震災からの復興は、10年20年、それ以上の時間がかかる。
そして、今の子どもたちは、復興しないままの街、その風景を見続けながら、大人に成長するまでの時間を過ごすことになる。
気仙沼を始め被災地のこどもたちは、今のままでは、破壊される(壊れる)というのが原風景で、そこから変わらない(復興しない)というのが原体験、という、こども時代になってしまう。

被災地のこどもに必要な支援・経験

この現状から、被災地のこどもに必要な支援として、以下のように考えました。
●震災を『負の記憶』だけにしない

「震災を機に、新しい体験、思い出を作る機会と出会えた」と思える活動。

●前向きな将来、夢や目標を考えられる機会づくり

『夢』『目標』を実践・実現している大人、場所と出会い、「変わらない」という原体験を「変えてゆける」と思えるような機会にする。
※キャンプ地の選定⇒ 山地酪農、ツリーハウス作り、地域活性活動等、実際に『夢』や『目標』を実践・実現している場所を会場とする。そこで活動する人と実践を体感できるプログラムを行う。

自分の手で作る力・可能性を感じることのできるプログラム。

壊れる(破壊されてしまう)という体験を、でも自分で新しく作ってゆける、そういう力がある、と思える機会に。 ※プログラム⇒ 直火、かまど、羽釜を使っての食事作り。鋸、鉈、ドリルなどを使った物作りプログラム、自分で釣竿を作っての釣り、などなど・・・

これには、『今、周りにある物、目に見える風景、考えられることがすべてではない。今自分の周りにない物や風景も、自分たちで作り、変えてゆけるはず』という、こどもたちへのメッセージが込められています。
そして、何かを『生み出す』『作り出す』力の源泉は、『好き』と『やりたい!!』という気持ち。
冒頭に書いたように『努力は夢中に勝てない』。自分で好きなやりたいことを考え、見つけ、決め、夢中に取り組むことが大切だと考えます。

またこのことは、被災地以外のすべてのこどもにも必要なこと、支援とも考えます。
現在のこどもたちが暮らす学校、地域、社会では、外から与えられる知識・学力を覚える『努力』、外から与えられる道徳・価値観を身に着ける『努力』を求められる。外から与えられる遊び(ゲーム等)・情報(携帯、ネット等)にあふれ慣れ親しみ、自分で作りだす遊びや楽しみの経験が少ない。
自分が本当にやりたいこと、楽しいことを考える余裕ない中で、楽しみを与えられ、自分に本当に必要なこと考える余裕ない中で努力を求められる。
自分で見て、考え、決めてゆく余裕と時間。本当に必要なこと、楽しいことを見つけ選ぶ感覚を研ぎ澄ますこと。そして自主的、内発的に自分で始め『夢中になって取り組む経験』。
こういったことが、全てのこどもたちにとって必要であり、貴重な体験になると考えます。
それを実現できる場として『こどもキャンプ』等の活動を続けてゆくことを、当会の趣旨としています。